『一緒にいようよ』

『一緒にいようよ 1 』



「ヒロさーん・・・明日雨だって言ってます・・・。」

明日は2人揃っての休日で、せっかくだから電車にでも乗ってどこか行ってみようか、なんて話していたのに、ニュースの天気予報は明日は1日中雨だとか言っていて、がっかりさせられる。

「仕方ないだろ、梅雨なんだし。降るべき時に降らないと困る人がたくさんいるんだぞ。」

「それはそうでしょうけど・・・せっかくデートの計画だったのに、雨だと楽しみ半減しちゃうじゃないですか。屋内・・・となると、映画か美術館かはたまた水族館とかかな・・・。」

タウン情報誌でおすすめデートスポットを吟味していた俺を、何か言いたげな顔をしたヒロさんがちらりと見やる。

「・・・俺は別に無理に出かけなくても、家でゆっくりしてたっていいんだし・・・。」

フローリングの床に直に座って文庫本を読んでいたヒロさんの元に歩いていって、ヒロさんの後ろに座ると、その腰をひょいと持ち上げて自分の膝に座らせる。
ヒロさん曰く「野分椅子」の体勢だ。
体と体がピッタリくっついて、大変幸せなこの姿勢をヒロさんは不思議と嫌がらない。
前から抱きつけばうっとおしい、後ろから抱けば暑いうざい、と逃げられるのに、この格好だけは嫌がらずに素直に座っていてくれるのだ。

「じゃあ1日ずっといちゃいちゃさせてくれますか?」

「今でも十分やってるだろうが。」

「常にヒロさん欠乏症なんで。」

黙っているヒロさんは今どんな顔をしているんだろう。呆れてる?それとも照れてる?
この姿勢は体の密着度としては申し分ないんだけれども、ヒロさんの可愛い顔が見られないのが難点だ。

読書の邪魔をしていると怒られて立ち去られるのが分かっているから、後ろから腰に腕を回すだけで触りたい気持ちをぐっと我慢する。
夕飯食べて、お風呂に入るまでの辛抱だ・・・・。
2人揃っての休みの前日の夜は余程の事がない限り、俺の求めにヒロさんは断らないで応えてくれる。普段「いやだ」と容赦なく逃げられるのも、オーバーワークでへとへとの俺の体を気遣ってくれての事なのだろうと分かっているから、あまりしつこく迫るのも良くないかなと思って3回断られたら諦める事にしていた。
でも今日みたいに2人揃っていて、明日はどちらも仕事が休みで、夜更かしだって出来るとなると・・・つい期待してしまうのも仕方ない。
「・・・野分。」

「え?はい、何ですか?」

「あたってる。」

「気にしないで下さい。生理現象ですから。」

気にしてない風を装っているけど、ヒロさんが俺を気にしているのは最初から分かっている。邪魔はしてなくても、手に持った文庫のページはちっとも進んでいないし、こうしてくっついているヒロさんの背中から俺の胸へ、少し早くなった心臓の音が伝わってきていて、それを感じるだけでヒロさんの想いが火を見るよりも明らかだったりするから。

俺の膝の上でもぞもぞとヒロさんが体を動かす。
すっかり硬くなってしまった俺の上からお尻をどけようとしているのだろうか。

腰を少し前にずらして、ヒロさんは俺の脚の間の床にぺたんとお尻を降ろしてしまった。心地良い膝の上の重みがなくなってしまって少し寂しい。

それでも逃がすつもりはない俺は背後からしっかりヒロさんの腰を抱いていて、後ろからうなじに顔を埋めた。
ああ・・・ヒロさんのいい香りがする。

床に降りているのに、どこか居心地悪そうに身を捩っているヒロさんの様子に気がついたのは、それから数分後の事だった。

後ろからそーっと手を伸ばして、ヒロさんの股間に触れる。

「わっ・・・バカ、触んな・・・・!」

そうしたら案の定・・・ヒロさんのそこも熱くなり始めていて・・・。


  ◇ 続く ◇





『一緒にいようよ 2 』



「気にすんな!放っとけ!・・・ほら、生理現象なんだろ?」

払いのけようとする手を押さえつけて、俺は背後からヒロさんの部屋着のウエスト部分から中に手を突っ込むと、膨らみかけているヒロさんのものに直接触れた。

「ご飯の前にヒロさんが食べたいです。」

「ヤダよ・・・どうせなら風呂入ってから後でちゃんと・・・。」

「お風呂の後もちゃんと頂きます。これはつまみ食いって事でいいですから。」

往生際の悪い彼の部屋着のズボンと下着を脱がせ、下半身をむくと腰を抱き寄せ再度膝の上に座ってもらう。
ヤダヤダと言っているわりに膝の上で後ろから扱き始めると、ヒロさんはすっかり大人しくなって、俺が与える快楽に集中しているのが分かる。
両脚を大きく開いて、小さな声で喘ぎ始めた彼をゆっくりと追い詰めながら、もう片方の手は双袋の更に下方、まだ硬く閉じたままの入口をそっと指先で撫であげると、膝の上のヒロさんのお尻がヒクンと震えた。

「あ・・・いや・・・。」

嫌だ、と言いながら俺が触りやすいように腰を浮かせてくれるヒロさんの奥をまだ中には入れずにまわりだけを揉みほぐしつつ、思案する。
ローションは寝室まで行かないと無い。
でももうこのままここで抱いてしまいたい。
何かかわりになるものはないかな・・・と考えつつリビングを見回す。
ふと目に入ったのはテーブルの上に置いたままの蜂蜜のチューブ。朝トーストに塗ってそのまま出しっぱなしだったんだ。

俺はヒロさんのものを扱く手の動きをそのままに片手を伸ばして蜂蜜の小さなボトルを手にとった。

「え・・・何・・・?」

一瞬ヒロさんのものを手放し、俺は手のひらにボトルの中身をたっぷりと絞り出すとそれをヒロさんのものに塗りつけた。

「や・・・嫌・・・何で・・・そんな・・・。」

蜂蜜の甘ったるい香りと、くちゅくちゅという音に興奮させられる。ヒロさん自身から滴り流れる蜂蜜をそのまま後ろへと塗り拡げ、とろとろとした粘液に濡れた指を奥へと差し入れる。

「んっ・・・・ひゃ・・ああ・・・。」

抵抗なく俺の中指はぬるりとヒロさんの内壁へ吸い込まれていき、粘つく蜂蜜を体内まで塗り込みながら、前を扱く手の動きを早めていく。

「あっ・・・ああ・・ン・・・野分っ・・・あっ・・・。」

気持ち良いのかビクビク震えながら腰を揺らすヒロさんの中から指を引き抜くと、俺は自分のボトムの前を開き、すっかり勃ちあがったものを取り出すと、指を抜き取られた喪失感に悶えるそこに先をあてがい、ぐいっと突き入れた。

「あああっ・・・いやぁ・・・まだ・・・ああっ。」

存分には解れていないそこはまだ少し窮屈で、苦しい程の圧迫感を感じながらもゆっくりとヒロさんの腰をその上に落としていく。

「ヒロさんのここ、すごく甘くて美味しそうですね。」

蜂蜜にまみれたヒロさんのそれを見せつけるように握っていた手のひらを開くと、それを見下ろしながらヒロさんは、はあっ・・・と甘いため息をついた。
それと同時に俺を根本まで飲み込んだそこがきゅうっと閉まる。

「それにこの中もとろっとろに溶けていて、気持ち良くて堪らないです。」

軽く腰を揺らすと接合部がヌチヌチと音を立てて、それが恥ずかしいのかヒロさんは過敏に背中を震わせた。

背後からヒロさんの両膝を持ち上げるようにして脚を大きく開かせると、そのまま下から突き上げる。

「いやっ・・・やだ・・・野分・・・こんな・・・・。」

「小さい子供におしっこさせてるみたいですね。いやらしくて、とっても可愛いです。」

「あああああっ・・・ああっ・・・んっ・・ん・・・イヤ・・・。」

ヒロさんは片手で俺の太腿を掴み、もう片方の手でまだ達しきれない自分自身を握り込んだ。
背後から俺に挿れられ掻き回されながら、ヒロさんの手が自身を扱き喘いでいるその痴態に、堪らない程の欲望をかき立てられた。


  ◇ 続く ◇

『一緒にいようよ 3 』



「・・・ああ、すごい・・・・ヒロさんのもヒロさんの中もクチュクチュいっててとても気持ち良さそうです・・・。」

「あっ・・・アアア・・ン・・・んっ・・んっ・・・いいっ・・・。」

背後から激しく突き上げながら、さらに脚を大きく開かせる。
必死に快楽を追おうとしている、ヒロさんの下腹部も手も蜂蜜で金色に輝いていて、それがどうしようもなく艶めかしかった。

俺の欲望に絡みつくヒロさんの内壁が小刻みに震えて締め付けてくる。
両脚を抱え上げられる度に俺の胸に背中を預けて、譫言みたいに俺の名前を繰り返し呼んでくれる。そうされる度に俺は嬉しくて、彼が愛おしくて、まためちゃくちゃに激しくその体を求めてしまって・・・。

「野分っ・・・・野分・・・・ア・・・いや・・・。」

ヒロさんの手の動きが早くなってきていて、彼の限界が近くなってきている事が分かる。

「ダメ・・・俺・・もう・・・。」

「いいですよ。それに・・・・俺もイキそうです。」

膝の上で背中を反らせている彼の腰を鷲掴みにして、大きく強く腰を突き上げるとその衝撃に弾かれるようにヒロさん自身が精を放つ。
絶頂の直後、急激に収縮する彼の内側にきつく締め付けられて、すぐに俺も欲望を解放させた。







体も、着ていた服も、フローリングの床も全て蜂蜜でべたべたにして怒られた俺は、床を雑巾で拭きながら、ヒロさんがお風呂から上がって来るのを待った。

「野分、晩ご飯何?」

腰にタオル1枚巻いただけの霰もない格好で風呂から上がってきたヒロさんは、しきりに「あちーあちー」と言いながら、ソファに座って脚を投げ出す。

「冷やし素麺と、海老と枝豆のかき揚げです。・・・ヒロさん、早く服着て下さい。」

ソファの上で脚を組み替える仕草に、タオルで隠された部分が見えそうで見えなくて、ようやく抑えたばかりの欲望を呼び覚まされそうになって焦る。

「ヤダよ。汗ひいてからじゃないと、寝間着湿って気持ち悪いし。」

洗った髪をきちんと拭きもしないで、無造作に肩に垂らしているヒロさんの頭をタオルで拭いて、ドライヤーをかける。
俺に髪を乾かされている間、ヒロさんはとても大人しくじっとしていて、こんな風に構われるのが本当は嫌いじゃないんだろうなと思う。

手のひらの上にさらさらと零れる、まったく癖のない紅茶色の髪に唇を寄せていると、下から見上げてきたヒロさんと目が合った。

「何だよ。じろじろ見て・・・。」

「いえ・・・可愛いなぁと思っていたんです。」

「・・・お前はホントそればっかりだな。」

だって、ヒロさんは可愛いから・・・・・・・・。
俺に抱かれて淫らに乱れている時も、きちんとプレスされたスラックスにセンスのいいジャケットを羽織った出勤時の彼も、照れ隠しにやたらとツンツンしたり、怒って暴れたりする姿も何もかも愛おしくて堪らない。

「明日のデート、楽しみです。」

「・・・雨なんだろ、天気予報。」

「一日中いちゃいちゃしてくれるってヒロさん言ってました。」

「・・・それのどこが楽しいんだ・・・・?」

不機嫌そうに眉をしかめるけど、否定はしないんだなと嬉しくなった。

今夜はヒロさんの好きなおかずでたっぷり飲んでもらって、ふにゃふにゃのメロメロにしてからベッドの上でたくさん続きがしたい。

「ビール、冷えてますよ。」

「おっ・・・・気が利くじゃん。」

途端に嬉しそうな顔でソファを立ち上がり、冷蔵庫から缶ビールを取り出し、それを手に戻ってくる。



  ◇ 続く ◇



お題提供
『みんながヒロさんを愛してる』同盟様


おうちデート でした。

2009月6月24日〜2009月7月11日連載


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