『一緒にいようよ』


『一緒にいようよ 4 』



以前は家で一緒に飲んでいても、ヒロさんが正体を無くした事など1度も無かった。
年下の俺へのプライドのせいなのか、家だという安心感で酔いがまわってくると同時に眠くなって寝てしまうせいなのか、いつもよりおしゃべりになったりはしても、べろべろで歩けないなんていう酔い方はまずしない。
それが最近はちょっと変わってきた。
飲む量は前に比べて少なくなっているのに、ヒロさんは結構短時間で酔ってしまうようになって、呂律もまわらなくなり、そうなると急にべたべた甘えてくるのだ。
もちろん甘えてくれる事は大歓迎なので、そんなヒロさんが見たくて、ついついヒロさんの休みの前日には飲ませて酔わせたくなってしまうんだけど、そんな俺の魂胆にヒロさんは気付いていないんだろうか。

素直になれない彼が気兼ねなく甘えられる手段としてお酒の力を借りようというのなら、いくらでもそうして欲しいし、そんな彼をたまらなく可愛いと思う。

ただ一つだけ謎なのが、酔って可愛い顔を見せるのが俺の前だけじゃない事だ・・・・。宇佐見さん家で飲んでふにゃふにゃになった挙げ句、迎えに行った事もあるし、宮城教授やゼミの学生さん達と飲んで、足腰立たなくなったヒロさんを教授がタクシーで送り届けてくれた・・・なんて事もあった。
飲んだら失敗するって分かっているのに、どうして俺の居ない所でもたくさん飲んでしまうんだろう・・・。心配だし、腹立たしいので止めて欲しい。

そして今日も・・・夕食のおかずをつまみにビールのロング缶1本、その後ハイボールを2杯飲んで「炭酸ばっかりじゃあ腹がふくれる。」と言いながら、戸棚のワインを物色している。

「ヒロさん、ワイン飲みたいんだったら冷やしたのがありますから。冷蔵庫の野菜室に2本入ってます。」

「そっかーよういいいなぁ、おまえ。」

冷蔵庫にワインを、食器棚にグラスを取りに行った俺の背中にヒロさんが抱きついてくる。

「のわきー。いいからこっちこい。なにうろうろしてんだァ?」

「何って・・・ワイン飲みたいって言ったのヒロさんでしょう。ほら、しがみついていたら歩けないしグラス割れますから、ソファに戻って下さい。」

子供みたいにじゃれついてくる彼を今すぐ床に押し倒したくなる気持ちを何とか抑えつつ、ワインとグラスをテーブルの上に置く。

俺は先にソファに座ると、犬か子供でも呼ぶように両手を拡げ「おいで。」とヒロさんを呼ぶ。

普段そんな事をしようものなら、間違いなくぶん殴られるか、しばらく口をきいてもらえなさそうだけど、酔ってる時は別だ。
彼は、ほんのりと赤く染まった頬で、ほんの一瞬ためらった後、ソファへと近付き、俺の腕の中におさまった。

ソファに座った俺の両脚の間に挟まる形で床に座ったヒロさんを1度そのままの姿勢でぎゅっと抱いて、その後脇の下を支えて引っ張り上げ、横抱きに膝の上へと座らせた。

「のわき・・・ワイン・・・。」

甘えたいのか飲みたいのか分からない彼を膝に乗せたまま、テーブルの上のワインをオープナーで開けてグラスに注いだ。
嬉しそうにグラスに手を伸ばした彼に手渡さず、俺はそれを軽く口に含むと目の前にある柔らかそうな唇に口づけた。
口の中の冷たいワインを口移しでヒロさんの口中へと注ぎ入れる。

「ん・・・・んんっ・・・・・。」

口の端から零れた滴を親指で擦り取って、再びちゅっとキスを繰り返した。

「のわき・・・もっと・・・・。」

「ワインですか?それともキス?」

顔を覗き込みながら尋ねると、ちょっとむくれ顔で唇を尖らせると、小さな声で「両方」と答えてくれた。


  ◇ 続く ◇


『一緒にいようよ 5 』


俺の膝に横座りで腰掛け、首に両腕をまわして抱きついてくるヒロさんを左手で支えながら、右手でグラスを持つ俺。・・・ちょっと男のロマン・・・っていうか、それは夢のような光景に違いなくて目眩がしてくる。本当は酔ったヒロさんじゃなくて、いつものヒロさんにこんな風に甘えられたらこれ以上ない程に幸せなんだけれど、いえ、酔ってたって十分幸せです。神様ありがとう。

とろんとした瞳で至近距離から見つめられて、ものすごくドキドキしてしまう。吸い込まれそうなくらい透明度の高い瞳とほんのりと青みがかった白目。いつもより下がり気味のまなじりは縁をほんのりピンクに染めていて、とても色っぽい。
キスをせがむ薄く開いた唇からは真っ赤な舌が見え隠れしていて、美味しそうだ。

ワインを一口また口移しでヒロさんの唇へと運ぶ。
小さく喉が鳴った後、アルコールの香りのする彼の甘い舌が入り込んできて、口の中の俺の舌とゆっくりと絡み合った。
キスの角度を変えようと唇が離れる度に、はぁっと漏れる吐息が可愛いくて、また更に深く口づけてしまう。

そのうち膝の上のヒロさんがもぞもぞし始めて、ぴったりと胸をくっつけてくるから、キスしながらその体をまさぐって、彼の熱の在処を確かめる。
ああ・・・やっぱりそうだ。太腿の付け根にそっと手を滑らせていくと、彼のものはすでに硬くなっていて、パジャマの柔らかい生地の下でしっかりと勃起していると分かった。
俺はグラスをテーブルの上に戻すと、そのままの体勢でヒロさんの体を横抱きにして抱え上げ、俺の部屋へと連れて行く。

そおっとヒロさんの体をベッドに横たえ、ベッドサイドの明かりを一番絞って灯す。
淡い光の中、俺を見つめるその人の髪を宝物に触れるように撫でて、開けたままのドアを閉めに立った。

「のわ・・・き・・・。」

ベッドから一瞬離れた俺に向かってヒロさんの両手が伸ばされる。
ほんの一時離れる事も許してくれない可愛い人の手をとって、その隣に体を滑り込ませた。

ひとつひとつパジャマの上着の釦を外していく俺の指先をじっと見つめる彼が心の底から愛おしい。前をはだけた上着を肩から落として袖を引き抜くと、素肌を晒した彼が俺の背中に手をまわしてきた。

なかなか思うように会えなくて、いざ会えた時には想いが募りすぎてぎりぎりな為に、どうしても性急に彼を求めてしまって後になって、もっと優しくしてあげたかったな・・・と後悔する事も多い。
そんな余裕のない俺のどんな求愛にも、ヒロさんは応えてくれるから、つい俺は甘えてしまって彼に無理を強いてしまう事もある。翌日も仕事なのに歩けないくらい激しく抱いてしまったり、真夏なのにきっちりシャツの釦をとめて隠さないとならない程に、全身に痕を刻んだ事もあった。翌日多少窘められたりはするものの、俺を責めたりもしないで体の痛みに黙って耐える彼を見るにつれ、申し訳なさとどうしようもない程の愛おしさが胸を締め付けた。

「ヒロさん、大好きです。」

「ん・・・・俺も・・。」

酔っぱらっているあなたはとても素直だから、いつも言えない言葉をたくさん言わせてあげたい。
本当は言いたいけれど言えなくて、本心じゃないけど強がって、本当の気持ちをうまく表に出せない事を自分でとても気にしているヒロさん。
俺も若い頃にはそんな彼の裏腹な態度や言動に振り回されたり、傷ついたり、困惑したりしていたけれど、こうやって年月を重ね、一緒に暮らすようになって、彼の本当の気持ちがちょっとずつ理解出来るようになった気がする。

一緒にいる時間に病院からの呼び出しがあり「早く行けよ」と俺をせっつくヒロさんの瞳の奥が落胆と寂しさに揺れている事。

長く会えない日が続いてほんの少しの時間顔をあわせた時に「変わりはないか」と明後日の方を向いたまま、ぶっきらぼうに言いながら、ヒロさんの肩が俺に抱き締められるのを待っている事。

俺の居ない時間、ひとりきりのこの部屋で、ただひたすら俺を想っていてくれている事。

どんなに寂しくても、がっかりしても、ヒロさんは決して俺を責めない。
一緒に働く同僚や先輩達の奥さんや彼女のように小言を言ったり、泣いて責めたりなんて事は一切しない。
多分それがヒロさんのプライドで、強さで、優しさなんだと思う。

俺は生まれて初めて愛した人がヒロさんで良かった。
最初で最後の人だからこそあなたで良かった。

だからこそヒロさんにも「野分で良かった」と思ってもらえるように、俺は努力を惜しむつもりはない。


  ◇ 続く ◇


『一緒にいようよ 6 』



お互いの素肌が触れあう瞬間、欲情するよりもまず安心感が胸にあふれる。
もしかしたらヒロさんもそうなんだろうか、抱き合い肌が触れあったそのままとても気持ち良さそうに瞼を閉じていて、本当に幸福そうな表情に、すぐに動くのが躊躇われる程。

しばらく抱き締めたままじっと待っていたら、焦れてきたのかヒロさんの右手がそっと俺のものに触れてきた。お返しのつもりで俺もヒロさん自身に触れる。
確かめ合うようにお互いに手の中のそれに指を絡めていった。
少し落ちつきかけていたヒロさんのものを指で上下にゆっくりと扱くとすぐに硬く張り詰めてくる。

「ヒロさん元気だ。かわいい。」

俺の首もとに顔を埋めてしまっていて、ヒロさんの表情は見えないけれど、喉のあたりにかかる吐息がとても熱い。

「・・・んっ・・・・はぁ・・・は・・・・。」

「俺いつもより余裕あるんで、ゆっくりしましょう。ヒロさんの体の隅から隅まで愛させて下さい。」

きつく扱いてしまうとすぐにイッてしまうから、ちょっと擦ってはしばらく手の動きを緩める。先端から滲み出る愛液を潤滑剤にしてヒロさんの形を指でなぞっていった。

「あ・・・あぁ・・・野分・・・・あっ・・・。」

胸元にキスを散らしながら手の中のものをギリギリまで高めたり、手を止めたりと焦らし続けていると、とめどなく先端からは透明の雫があふれて俺の手のひらを濡らした。

「苦しくなってきたら言って下さいね。意地悪でイカせてあげてない訳じゃないですから。」

「ん・・・だいじょ・・ぶ・・・。きもちいい・・・・・。」

俺の手の動きに合わせて静かに腰を揺らすヒロさんがすごく色っぽい。
控えめな動きだけど、気持ちよくなりたくて、ヒロさんが自分で動いているんだって考えただけで堪らなくなる。

胸の尖りを唇にふくみ、舌先でやんわりと舐め上げると、赤く染まってぷっくりと膨れあがった。右手はヒロさんのものを握っているし、左腕は自身の体重を支えている為に使えないから、左右のしこりを順番に片方ずつ吸っていく。

「ヒロさん、おっぱい気持ちいい?」

「や・・・ゃあん・・・あっ・・・あああ・・・。」

胸はヒロさんの気持ちいい場所のひとつ。
俺自身は特にそこを触って気持ちいいと感じた事が無かったから、初めてそれに気がついた時には不思議で可愛いくて感動したのを覚えている。

「ほら、ここ両方ともぷくって膨らんでて・・・可愛いです。」

俺の言葉に反応したのか手の中のヒロさん自身がビクッと震えた。
胸を舌と唇で愛しながら、ヒロさん自身を扱く手は軽く握ったままで動きを止める。

「今日は胸だけでもイケるのか試してみませんか?ヒロさん感じやすいから、結構すぐかも・・・。」

今にも弾けそうなヒロさん自身から手を離して、小さく立ち上がったそれを指先で擦り合わせるように動かしながら、もう片方を少し強めに吸い上げる。

「ああっ・・・ン・・・ぅあ・・・ああ・・・やぁ・・・。」

口の中にある膨らみを何度も何度も舐めあげ、唇で挟み、触れる程に軽く甘咬みすると、ヒロさんが切なく喘ぐ。

「野分っ・・・あっ・・・・あっ・・・イイ・・・すごいイイ・・・。」

爪を立てないように指の腹できゅっと摘み、くりくりと指先で揉みしだくと、中途半端に高められたままのヒロさん自身が小さく震える。

「はあっ・・・ああ・・・はっ・・・あ・・もう、ヤッ・・・ア・・・。」

俺の太腿に擦りつけられたヒロさんのそれが限界を迎えようとしているのを感じながら、口の中のしこりを舌先で擦り続けた。

「んっ・・・あ・・・ああああ!」

ビクンっとヒロさんの背中が反り返って、限界を越えた高まりが熱い飛沫を放つ。
弄られすぎて赤くなった両胸の尖りのまわりを飾るように白く濁った精が飛び散っていて、あまりに扇情的な光景に息を飲んだ。

まだ温かい吐精を指先で胸元に塗り拡げてやると、ヒロさんが小さな声で「イヤ・・・」と囁く。


  ◇ 続く ◇



お題提供
『みんながヒロさんを愛してる』同盟様


おうちデート でした。

2009月6月24日〜2009月7月11日連載


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