『一緒にいようよ』


『一緒にいようよ 7 』



緩く抵抗するように俺の髪の毛を押し返すヒロさんの指に自分の指を絡めて制しながら、ヒロさんの体を濡らした白濁を舌できれいに舐め取っていった。
最初ちょっと嫌がっていたヒロさんも俺の舌がおへそのまわりや脇を伝う感触に、小さな笑い声が漏れる。

「野分・・・くすぐった・・・い。」

「出した後すぐってそうですよね。俺もそうなります。」

くすぐったさに身を捩る彼が可愛いくて、余計に追いかけるみたいにしてペロペロと舐めていると「犬じゃないんだからさー。」と言ってヒロさんは俺の髪をわしわしと掻き乱した。

いたずらっ子みたいにクスクス笑っているヒロさんの手を捕まえて、その指先をぱくりと咥えこむ。まだじゃれてるつもりで笑っていた彼が、指先に絡みついた俺の舌の熱っぽさに気がついて小さく呻く。

最初は親指から。濡れた舌先で擦り強く吸い上げた後、唇をつたわせて人差し指を咥えた。俺より一回りは小さいヒロさんの手の指は先端に向かって細くなっていて、しなやかで、細長い爪の形までとてもきれいだ。

先細りの指を持つ人は手先が器用だというけれど、ヒロさんはどうだろう・・・どっちかというとあんまり手先を使う作業には向いていないような気がする。料理をしても「男の料理!」って感じにとても豪快だし・・・・。
だけど、得意な訳ではないのに、俺に食べさせようと作った不揃いで大きな根菜がゴロゴロ入ったカレーや、形がばらばらなおむすび、黄身の崩れた目玉焼き・・・どれもヒロさんの気持ちがたくさん詰まっててどんなご馳走よりも美味しくて。

「や・・・・ン・・・・っ・・・・・!」

人差し指と中指を2本一緒に口中に収め、濡れた舌でくすぐりながら上下させると、ヒロさんが上気した顔で息を吐き出す。

唾液でベタベタになった指を口腔から引き出し、中指と薬指の間の股を舌先でなぞり、その手のひらまで舌を這わせると、ヒロさんはくすぐったいのとはまた違った声を漏らし始める。

「あっ・・・ああ・・・のわき・・・。」

最後に小指をそっと口に含み、ちゅっ、ちゅっと軽く吸うと、真っ赤な顔をしたヒロさんがその光景をじっと見つめていて、指先を舐めながら上目遣いに見ると、睫毛を震わせながらゆっくりと瞼を閉じた。

「こういうの・・・興奮しますか?ヒロさん、顔赤いです。」

「・・・だって、野分がそんなやらしい舐め方するから・・・・。」

「ヒロさんを隅々まで、愛したいって言ってたでしょ。まだまだこれからです。」

「も・・・いいから。俺がき・・・・気持ちいいばっかりなのは・・・嫌っつーか・・・。」

「ヒロさんが気持ちいいと俺もイイんです。」

「・・・う・・・・。」

ちょっと困った顔のヒロさんの髪を撫でて、その頭ごと腕の中に抱き込む。

「そんな顔しないで下さい。分かってます・・・一緒に気持ちよくなりたいんですよね。じゃあそろそろヒロさんのここで俺を受け止めてもらえますか?」

抱き寄せて背中から腰、お尻に手を滑らせて、双丘の間を指でなぞった。

「あああっ!・・・・。」

閉じた狭間に手を差し入れて、奥まった入口を探り当てると、ちょっと前に抱いた名残りか柔らかく緩んでいて、俺の指先を難なく迎え入れる。

「ここ・・・まだ俺の形が残ってるみたいです・・・。」

「・・・やっ・・・・!」

「解さなくても入れそうだけど・・・指と俺のとどっちが欲しいですか?」

俺の質問に、またヒロさんが困った顔でじっと俺を見つめる。
そうしている間にもヒロさんの内部に挿入した指は、動かさなくても時々きゅっときつく締め付けられていて、一刻も早くこれを引き抜いて自分の欲望を差し入れたくなってしまう。

「あっ・・・・も・・・・挿れて・・・。どっちでも!・・・いいから・・・野分のっ!早く・・・早く・・。」

「ヒロさん・・・っ。」

しがみつくようにして乞われて、そのまま指と入れ替えで俺自身で貫いた。


  ◇ 続く ◇


『一緒にいようよ 8 』



挿入の瞬間、一瞬息を止める彼の緊張した顔が次第に解けていくのを確認した後、ゆっくりと動き始める。二人の形がしっかりと馴染み合うまでゆるゆると軽い出し入れを繰り返し、ヒロさんの内側の吸い付くような感触を味わった。

「はぁ・・・あ・・・んん・・・ん・・・・。」

熱くとろけるような内部は収縮を繰り返し、俺自身を根本までしっかりと受け止めてくれる。
脚を大きく開いたヒロさんの綺麗な裸体に上からのしかかるようにして、腰を圧し入れれば、もっと深く繋がり合いたがっているようにヒロさんの脚が俺の腰に絡みついた。

「のわ・・・ああっ・・・イイ・・・野分の・・・でいっぱいにして・・・。」

「ヒロさんの中、気持ちいいです。狭くてぎゅうぎゅうで・・・余分に指一本も入らないくらいもう俺でいっぱいですよ・・・。」

「ん・・・んぅ・・・ん・・・・うれし・・・。」

先端ぎりぎりまで引き抜いては、また深淵目指して分け入っていく。もどかしいくらいにゆっくりと腰を使えば、がむしゃらに動く時とはまた違った快感が背中へと抜けていく。
ヒロさんも抜け出ていく感触に大きく息を吐き出し、また挿入されていく圧迫感に小さく息を飲む。最奥まで到達した時にぐっと腰を回すようにすると気持ちいいのか内壁がきゅうっと締まる。そんな僅かな筋肉の震えまで感じたくて、繋がるそこに全ての意識を集中していた。

「ヒロさ・・・ん・・・。」

涙と汗に濡れたヒロさんの頬にぴったりと頬をつけて動きを止めれば、乱れた呼吸を整えようと深呼吸するヒロさんの胸の鼓動が伝わってくる。大切な人の命のリズム。聴診器を通して聴く音とはまた違う、耳ではなく触れあった肌へ直接伝わっていく確かな音に、安心感が満たされていくのを感じた。

繋がったままじっとしている俺の背中をヒロさんの手が優しく撫でてくれて、心地よさと幸福感で胸がいっぱいになる。
どうしよう、今でもこんなに好きなのに、どれだけ惚れさせようというのだろう・・・無自覚な可愛い仕草や情の深さを感じさせる小さな行動に深く感動させられて、ますますこの人をたまらないくらい好きなんだと思い知らされる。

「好きです。ヒロさんが好き・・・好きなんです。」

彼と出会ってから今まで、いったい何度繰り返してきたか分からない言葉。
もっとこの胸の中の思いを伝える為にふさわしい言葉は無いものかと辞書をめくっても、彼を前にして口を開けば相変わらず「好き」と言っていて、自分の語彙の少なさに苦笑するしかないが、それを聞いた瞬間のヒロさんの瞳の輝きは今でも変わらず、俺の拙い愛の言葉を彼がちゃんと受け止めてくれていて、今でも変わらず喜んでくれているんだって分かる。

「うん・・・ありがと・・・その・・・おれも・・・。」

「ん?何ですか。」

「・・・・・・・・・・・・おれも、すき、だから・・・。」

「ありがとうございます。」

鼻と鼻がくっつくような至近距離でまっすぐに見つめると、ヒロさんもまっすぐ俺を見てくれていて、ちょっとより目になった顔が何とも可愛らしい。

キスをせがむようにしどけなく開いた唇に誘われるままに口づけを落とす。
まだ微かに薫るアルコールの甘い匂い。
濡れた舌が絡み合って小さく音が立つ度に俺を温かく包み込んでいるヒロさんの内側がひくりと動く。キスひとつにもこんなに感じてくれる彼を悦ばせたい。悲しくない涙を流させて、もっと乱れさせて、あまりにも艶っぽい絶頂の瞬間のあの顔を見たい。

静かに律動を再開させれば、その動きに合わせてヒロさんも腰を揺らしてくれる。
膝を立てて僅かにシーツから腰を浮かせ、俺の腰に擦りつけるような動きにヒロさん自身もまた半勃ちになりかかっていて、先端を半透明の雫で濡らしていた。
まだ柔らかいそれを手のひらに握り込み、腰の動きに合わせて緩やかに扱く。


  ◇ 続く ◇




『一緒にいようよ 9 』



緩慢な動きでじっくりと味わうヒロさんの躰は、繋がったそこからとろけそうなくらい悦くて、しかもお酒の力をちょっと拝借して、いつもより素直な彼は快感を隠そうともせず、惜しげもなく俺の前に晒してくれる。

手の中で揉みしだくヒロさん自身も、すぐに硬度を増してきていて、このまま強く扱き続ければすぐに弾けてしまいそうだ。

「野分・・・どうしよう・・・きもちいい・・・。」

「大丈夫です。そのまま、いっぱい感じて下さい。ヒロさんの感じてる顔もっと見せて・・・。」

「あっ・・・・あああ・・・・アア・・・。」

追い詰めすぎないように手の力を加減しながら、ヒロさんの中を掻き回し続ける。時間をかけている分そこが乾いてしまわないよう、引き抜いた自身にたっぷりとローションを塗って、再び熱い洞へと砲身を沈めた。

徐々に限界が近づいてきているヒロさんの表情を伺った俺は、わざと避けていたヒロさんの中のあるポイントを狙って突き込む。

「やあっ!・・・アンっ・・・あっ!あ・・そこ・・・・ダメっ・・・。」

「だめじゃないでしょう。ここ、ヒロさんの好きなところですよ。」

「だから・・・・っ!やっ・・・やあああっ・・・・・ダメ・・・・あっあっ!」

「ダメって言ってても、ヒロさん自分で擦ってきてますよ。ほら腰がこんなに揺れて。気持ちいいとこに当たってますか?・・・ここ?」

「や・・・・いや・・・・あああああ・・・ン・・・・。」

すっかり夢中になって腰を振る彼の脚を片方抱え持って、望まれるままにその一点を突き続ける。こうなってしまえばもう前を扱く必要はない。それでも手の中でひくついている彼のものを手放し難くて手を添えたまま、律動を早めていった。

「・・・のっ・・・のわきっ・・・・あっ!ああっ!・・・・んっ・・・イイっ!」

ヒロさんの白い肌がみるみる桜色に染まっていく。

「そこ・・・イイ・・・気持ちイイ・・・野分、野分っ!!」

大きく体を震わせて反り返った背中を両手ですくいあげ、腰をしっかりと掴むと自分の腰へと叩きつけるように引き寄せ、ひたすらに彼の躰を揺す振り続ける。

「や・・・も・・・イク・・・・!」

絶頂が近づくごとに、いっそう狭くなる内部をぐちゃぐちゃに掻き回しているうちに、俺にも強烈な射精感が襲ってきた。ヒロさんの中に出したい、たっぷりとそそぎ込んで俺のものなのだと刻印を刻みたい、と本能が突き上げてくる。

「あっあっ・・・!!そんな・・・はげし・・・。」

肌同士がぶつかり合う音が部屋の中に響き、すすり泣くようなヒロさんの啼き声が更に俺を追い上げていく。

「・・・・ヒロさんっ・・・・!」

彼の体の一番深いところ。俺にしか届かない深底に思い切り突き込んで、そこで俺の欲望は弾けた。むろん避妊具の中ではあったけれど、本能の命じるままに愛おしい体の最奥に精を放って、ようやく全身を痺れさせていた熱がゆっくりとひいていくのを感じた。

くったりと体を弛緩させてシーツに沈み込んだヒロさんの胸に嬉しさのあまり顔を擦りつける。

名残惜しい気持ちを抑えつつ、温かい体内から自分のものをずるりと引きずり出すと、ヒロさんの体がビクッと震えた。

スキンを始末している俺の手元をぼんやりと見つめていたヒロさんの瞼がゆっくりと臥せられて、俺の見ている目の前ですうっと寝ている時の呼吸へとすり替わっていく。

夕方から足すと、何度も繰り返し体を重ね合って、しかも俺の何倍もの回数達したヒロさんの限界・・・といったところなのだろう。安らかな寝顔にほっとしながら、その体をぎゅっと抱き締める。

可愛い、可愛い、可愛い。

俺とのセックスに夢中になって、意識を飛ばすギリギリまで貪欲に求めてくれた。

この調子じゃ、明日は例え雨が降らなくても出かけるのは無理だろう。ヒロさんが自然に目覚めるまで朝寝坊して、家で2人ゆっくりと過ごせばいい。

腕の中ですぅすぅと寝息をたてる彼の髪を撫でながら、その額に口づけを落とした。


  ◇ 続く ◇



お題提供
『みんながヒロさんを愛してる』同盟様


おうちデート でした。

2009月6月24日〜2009月7月11日連載


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