『新月』



「・・・・わっ・・・。」

濡れた感触に驚いて腕の隙間から覗くと、目の前の思いがけず近いところに野分の顔があって驚かされる。俺をじっと見つめてくる黒い大きな瞳。出会った頃と同じ、無垢で真っ直ぐな・・・。

「そ・・・その顔で、やらしー事・・・あんま、すんなよ。」

「何故ですか。」

「罪悪感・・・っていうか、純粋な若者を・・・なんつーの、汚してる気分・・・。」

「・・・そんな事。・・でも俺、17歳の時にはもうヒロさん抱いてたじゃないですか。」

「・・・!」

「それに、俺は別に純粋でも無垢でも無かったです。ヒロさんに出会ってから告白するまでずっと・・・ヒロさんは一生懸命真面目に勉強教えてくれているのに、俺はヒロさんの事で頭がいっぱいで・・・顔を見てはキスしたいなぁ・・・と思ったり、後ろ姿を見つめては、抱き締めたいなぁとか思ってましたし・・・。それに、ヒロさん想像して、俺何回抜いたか・・・。」

「ああっ!もういい!それ以上言うな。俺の夢を壊すんじゃないッ。」

「だから気にしないで下さい。今の俺はもうヒロさんを好きで好きで仕方なかった頃の俺です。ヒロさんが罪悪感なんて感じる必要ありません。」

「野分・・・。」

「こんな姿ですけど、ずっとヒロさんを愛してきた俺なんだって、証明させて下さい。」

「証明・・・って?」

「ヒロさんとひとつになれば、きっと分かってもらえると思います。」

訳の分からない理屈に俺は言葉を失うものの、心のどこかで、野分の言葉を嬉しいと思っている自分に気付く。

「・・・じゃあ、あれか。頭のかたい俺に話して聞かせるよりは、体に教えた方が早い・・・と、そういう事かよ。」

「まあ、そう言われればそうです。」

再び絶句した俺の頬に野分のすべすべした頬が擦り寄せられる。
頬と頬、鼻と鼻、額と額、そして口と口・・・じゃれ合うようなキスが気持ち良くて、俺の体からどんどん力が抜けていってしまう。

言葉はとても便利だけど、俺達二人は揃いも揃って言葉で伝え合うのが苦手だ。言葉が足りなくてすれ違ったり、本意じゃない言葉を吐いた挙句、揃って傷つきあったりする。
言葉の学問を職業にしながら、自分自身の不甲斐なさに情けなくなってしまう・・・。

「あ・・・・はっ・・・・。」

熱い野分の口に自身を咥えこまれ、堪え切れない溜息が零れる。
先端を口唇と舌とでぬるぬると丸みに沿って撫でられ、そのまま根本まで深く吸い込まれて、強すぎる刺激に、足の爪先が空を彷徨う。
枕のせいで浮き上がった腰が何だか心もとなくて、腰を揺らすけど、勘違いしたらしい野分にがっちりと抱えこまれてしまった。

「ハア・・・ん・・・ハッ・・・アア・・。」

巧みな口淫に追い上げられ、硬度を増していく俺。野分は濡れた音を立てながら、口での愛撫を休む事なく指先をすっと俺の後ろへと差し入れた。
さっきまで野分の指でほぐされていたそこは、ローションをたっぷりと塗りこめられたせいもあって、引っかかる事もなく指を迎え入れる。

体内を掻きまわす指はすぐに2本に増やされた。
2本の指で押し開くように揉まれ、堪らなくなった俺は、脚の間にある野分の頭をぎゆっと太腿で挟み込む。

「あっ・・・のわ・・・きっ!」

どんどん早くなる舌使いに湧き上がる熱塊。出口を探して暴れまわるそれを誘導されるまま、俺は野分の口の中に放った。
絶頂を迎えてガクガク震える腰が浮き上がる程、両足を高く抱えあげられて、息をつく間もなく野分の焼けつくような情熱が痺れたままの内壁を分け入って挿し入れられる。

「あーーーーーああぁ!」

はしたない程の嬌声が放たれた事に気がついたけど、もう俺にはどうする事も出来なくて。





まだ全て収めきれていないというのに、圧倒的な容量に驚かされる。
半分程挿入した状態で、一度動きを止めた野分の首にすがりつき、強張る下半身の力を何とか逃がそうと小刻みに息を吐きだした。

「ヒロさん・・・。」

「待てよ。頼むから、まだ・・・動くな。」

限界まで広げられた、内壁の襞がひきつれて悲鳴をあげている。
早くここの力を抜いてもっと弛めてやらないと、とてもじゃないが動けそうにない。

「野分、お前デカすぎる。でもって硬い・・・無理・・・。」

「・・・すみません。」

苦しさに眼尻を伝う涙を手の甲で拭って、俺は一度野分に身を引かせると体の向きを換えて、四つん這いになって、腰を上げた。背後から抱きしめてくる野分の腹に腰を擦りつけ、野分のものが触れるのを待つ。

「いきますよ・・・。」

戦慄く入口に野分の熱いものが触れる。頭を低くし腰だけを高く上げると、ゆっくりと野分が体を奥深く沈めこんできた。

「ヒロさん・・・大丈夫ですか?・・痛いんじゃないんですか。」

「イテェよ。・・・でもまあ、そのうち慣れるだろ・・・。」

「・・・・ヒロさん・・・好きです。俺・・・おれ・・・。」

「いいよ。ゆっくり・・・ゆっくり動けよ。」

野分の大きな手が俺の脇腹を後ろからしっかりと掴み、静かに動き始めた。
張り詰める苦しさも、引き攣れるような鈍い痛みも、野分がくれているのだと思えば心地よさに変わる。

「は・・・・ア・・・アア・・・ア・・。」

一分の隙間もなく野分に満たされているのが分かる。
接合部が立てる濡れた音に、耳を通して頭の中までぐちゃぐちゃにされてしまいそう。

初めて野分に抱かれた時の、あの日の衝撃をふと思い出した。

誰かと体を繋げた経験はそれまでに幾度かあっても、心から自分を欲してくれた人は野分が生まれて初めてで。
どんなテクニックを駆使されても、愛してくれる者が与えてくれる愛撫には到底叶わない。触れられた先から蕩けてしまいそうな、あの甘く狂おしい感触。報われない恋を長い年月引きずって、好きでもない知らない男に身をまかせた事、好きだったヤツに他人の身代わりに抱いてもらって、ますます自分が嫌になった事、もう一生俺は誰からも愛されず、誰からも求められずに生きていくんじゃないかと・・・絶望の中にいた俺を、野分はちゃんと見つけ出してくれて、愛する事ばかりで愛され方を知らない俺を愛してくれると約束してくれた。



あれから・・・7年。
約束通り、野分は今も変わらない。
俺は相変わらず愛される事に慣れないままだけど、野分が居てくれるから・・・居てくれれば・・・もうあんな絶望の淵を覗き込む事は二度とないだろう、と思う。

「アッ・・・ああっ・・・野分ィ・・・っ・・・。」

注挿を繰り返しながら、俺の名をつぶやく野分の声に胸が熱くて、繋がった箇所が燃えるよう。

好きだ。

大好きなんだ。

いつもちゃんと言えなくてごめん。

何度体を重ね合ったら、俺達ひとつになれるんだろうな。ひとつに溶けあって、混ざり合って、二度と解けなければいい。

野分ー野分ー野分ーーーーー。

もうすでに俺の唇から零れ落ちるものと言えば、言葉にならない啼き声ばかりで、胸の中に生まれた言葉達は昇華される事なく、喘ぎ声に取って代わられてしまった。

 



激しい動きに翻弄されて体を支えていた膝が崩れ落ちた。
それでも野分の勢いは止まらず、俺の片膝を横抱きに抱えあげて、揺さぶり続ける。

「あっ・・・ヤ・・・野・・・わ・・・。」

「ごめ・・・なさ・・ヒロさんっ・・・止められな・・・っ。」

「アッ・・・・・やあっ・・・もっ・・・イク・・・。」

俺が堪らずに野分の手のひらに放った後も、野分は律動を止めず、激しく揺すられながらそのまま俺は意識を失ったらしかった。

 

 

・・・・翌日

さすがに病院を休ませる訳にもいかず、とりあえずマスクで誤魔化す事にして野分を送り出す。勤務中何かの問題が起こったら・・・という一抹の不安はあったが、考えだすとキリがない上に何も出来なくなってしまいそうではあったし「大丈夫です。いざとなったら先輩に相談しますから。」と言う野分に説き伏せられて、頷かざるをえなかったのだ。

津森に相談するから・・・という意見は腑に落ちなかったが、自分が一日中ついて歩く訳にはいかないのだから仕方がない。

野分が出て行った後、俺も残してきた仕事が気になり、休み返上で大学に出て行く事にした。自分同様、休みも気にせずに研修室に入り浸っている宮城教授も、どうやら今日は来ていないようで、電気の灯っていない教授の部屋を通り過ぎ、自分の部屋のドアに鍵をさし込む。

不思議なもので、家に居て野分の不在が何日も続くのは寂しいのに、こうやって職場で一人黙々と作業をするのは嫌いじゃない。特に資料を読みこんだり、学生のレポートに目を通す時など集中力を必要にする時などは居るだけで騒がしい宮城教授だけに、むしろ居ない方が有り難かった

自分一人の為にコーヒーをセットし、パソコンを立ち上げる。

論文の推敲をプリントアウトした束を手にソファに沈み込み、靴を脱いでソファの上に両脚を上げて座り込む。こういう寛いだ格好も休みで学生が来ないからこそ出来る事かもしれない。

部屋の中にコーヒーを淹れるいい薫りが満ち始めた頃、カバンの中の携帯電話が鳴り始めた。液晶画面に表示された送信者の名前は『宇佐見秋彦』

「・・・・ハイ。」

「弘樹、お前今日は日曜だし休みだったな。今どこに居る?家か。家に居るならどこかカフェか何かまで出て来れな・・・・。」

人の都合も聞かずに、この男はいつもそうだ。今度は何だ、締切前に編集から逃げ回っているのか、新作の下読みか、本を貸すのか返すのか・・・。自分のペースでしゃべり続ける秋彦の言葉をわざと遮る。

「家にはいねーよ。用事があって大学に居る。」

「・・・そうか、それは好都合だ。これからそっちに向う。」

「俺は仕事しに来てんだぞ。何の用かくらい言え。」

「新作のネタが無い。何でもいいから、お前達の近況を話せ。」

「・・・・お前・・・達? 秋彦、お前また何かろくでも無いこと考えてんじゃねーだろうな。」

「じゃあ、頼んだぞ。20分くらいで着く。」

「てっめー!人の話を、聞け!」

すでに通話の終わった携帯電話を相手に怒鳴ってみても詮無い事で、20分と言ったら20分で何が何でもやって来る、幼馴染みの為にコーヒーカップをもう一つ用意した。

 

「ところで、秋彦・・・ちょっと聞いて欲しい事があるんだけど、いいか。」

「何がネタにつながるか分からないからな。何でも聞いてやる、さあ話せ。すぐ話せ。」

来るなり俺のお気に入りのソファに陣取ってメモ用紙片手に、ものすごい前のめりな姿勢なのが腹立たしい・・・。

「・・・人間が突然理由もなく、ある朝若返っていたら、お前だったらどうする。」

「ん・・・残念な事にありきたりな設定だな。これまで小説や映画で何度も使われたネタだ。」

「別にお前にネタを提供してやろうと思って言ってんじゃねーよ。・・・・まぁ、それがフィクションでは使いつくされたアイデアだとして・・・実際、物語の中でそうなった奴って、どうなるんだ・・・?」

「まあ、よく見かける展開では、あれだな。少しずつ更に若返っていって、最終的には子供のような容姿になっていって、背が縮み、声が高くなり・・・。」

「・・・・。」

「赤ん坊になり・・・消滅する。




「・・・・おい、弘樹。・・・・弘樹、どうした。」

秋彦が呼ぶ声でようやく我に返り、俺はゆっくりと顔を上げた。

「弘樹・・・お前、顔真っ青だぞ。大丈夫か・・・・?」

「あ・・・ああ・・・うん。」

秋彦に手渡そうと持ち上げたコーヒーカップを持つ手が震えて、机の上にボタボタと茶色い染みを残す。

「弘樹。」

「ごめん。そっちかからなかったか?・・・コーヒーこぼれたし、淹れなおして・・・。」

コーヒーを淹れなおそうとした俺は、今度は豆の入った瓶をカウンターの上に倒し、続けてミネラルウォーターのペットボトルを取り落として床に転がしてしまったあたりで、手首を秋彦に掴まれた。

「いいから、何があったのかを話せ。いったいさっきの話は何の意味があったんだ。」

「別に・・・何も・・・。」

「弘樹!」

珍しく真面目な顔をした秋彦からすごい剣幕で睨まれ、俺は所在なく秋彦に掴まれた自分の手首をぼんやりと見つめるしかなかった。

 


結局、秋彦からしつこく問い詰められ、俺は野分の現状を全て説明させられた。話しながら、自分でもまだ半信半疑で、こんな訳の分からない話を秋彦が信じる訳がないとも思う。
だいたいこの目で見た俺ですら信じられないのだから・・・。

「確かに、すぐに受け入れられる話ではないな。・・・・でも、お前が嘘がつけない男だというのは長年の付き合いのおかげでよく分かっている。」

「信じてくれる・・・のか?」

「嘘じゃないんだろう。」

「・・・・ん。」

「弘樹がそうだというなら、それで十分だ。」

いつでも根拠のない自信にあふれている、秋彦のそういう部分が好きだった事も、ウザいと思った事もあるが、自分の足元が揺れてしまっている時には、そんな揺るぎなさにすがりたくなる。

「秋彦・・・俺はいったいどうしたら・・・・。」

「まあ、今の現状だけじゃ何とも判断はつかないな。病院で検査して解決するような事でもないだろうし、そんなものお前だって嫌だろう。」

「調べて、それでなおしてもらえるんなら文句ねぇけどさ、解明できる訳でもねぇのに、野分をいじりまわされんのは俺が耐えられない。」

「とにかく・・・今出来るのは、もうしばらく様子を見る事くらいだろう。まだ逆行現象が続くのか、そうなった時のように突然もとに戻るのか。戻れば問題ないが、これ以上状況が悪くなるようならまたその時考えよう。」

 

もう仕事を続ける気分では無くなった俺は、仕事のデータをフラッシュメモリに落として、自宅に持ち帰ってやる事に決めた。
秋彦と共に大学を出て、自宅の前まで車で送ってもらう。

急いで部屋に戻ってきたものの、部屋は朝自分が出て行ったそのままで、野分が帰った形跡はない。携帯にも自宅FAXにも野分からの着信はなく、まあでもそれは、野分に何事も起こらなかった、問題なく働いているのだという事なのだろう。

考えてもどうにもならない事だと分かっているけれど、秋彦に言われた物語のラストシーンが繰り返し頭に蘇る。

『最終的には子供のような容姿になっていって・・・赤ん坊になり・・・消滅する。』

いやだ。冗談じゃねぇ。
何で・・・・野分がそんな事に。

野分がいつか俺に愛想を尽かして、別れて欲しいと言ってきたり、あまりにもすれ違いが続いて、お互いそれが我慢できずに二人離れたり・・・なんていう二人のラストを考えて、一人落ち込んだりした事はあるけれど、野分が消えてしまうなんて・・・想像すらした事がなかった。

 

 

それから一週間の時が過ぎた。

17歳当時の姿になったまま野分は何食わぬ顔で仕事を続け、いつもと同じように週の殆どを当直などの為病院で過ごしていた。
本当はもう仕事なんて辞めて家に居て欲しいと喉の奥まで出かかっていながらも、野分から仕事を取り上げる訳にもいかず、そしてこの異常な事態にも関わらず自然に状況を前向きに受け入れ慣れつつある奴に、余計な不安を抱かせたくはなかった。

秋彦から聞かされた、恐ろしい仮定。
俺はそれを野分に告げる気にはなれなくて、そっと胸の中に仕舞いこんで蓋をした。
こんな思いをあいつにさせる訳にはいかない。

 

「ヒロさん・・・。」

夕食の後、洗い物をしている俺の背後から野分に抱きしめられる。
最初は腰のあたりに腕を回してきて、俺はそれを咎める事なくそのままに皿を洗い続けていたなら、今度は調子にのった手のひらが二の腕や脇へと伸ばされて、さすがにスポンジを持った手が止まる。

「何。」

「ヒロさんに触れたくなって・・・邪魔ですか。」

「洗い物終わるまで待てよ。濡れるぞ。」

「・・・最近ヒロさん優しくなった。」

「俺は前から優しかったろ。」

「はい、ヒロさんが優しいのは昔からなんですけど・・・それとは別に、俺のわがままをすごく許してくれるようになったというか・・・寛容というか。」

「ガキに対して、意地張る気がおきねーだけだ。」

「どんな理由だっていいんです。ヒロさんが俺のことをすごく考えてくれてるって分かるから・・・。でも、その優しさに、俺甘えてて・・・すみません。」

この一週間、俺は出来る限り残業を減らし、自宅でも出来る仕事は全て家に持って帰ってやるようにしていた。野分は相変わらずたいして帰って来ないから、結局一人で過ごす事が多いんだけど、そうしてやる事で、少なくとも俺の仕事を理由に野分と過ごす時間を削らずには済んでいて、自己満足だとは思いつつも、そうせずにはいられなかった。
野分の為じゃない。俺がそうしたかっただけなんだ。

出来る限り自然に振舞っているつもりだけど、聡い野分の事だ、俺のそんな小さな変化にも敏感に気付いているのだろう。

ちょっと前までの俺は、野分と過ごす時間は永遠に続くくらいに考えていて、ちょっとの努力と気の持ちようでもう少し増やせた二人の時間もぞんざいに扱い、無意識に消費し続けてきた。どんなささいなひとときであっても、指の間を一度すり抜けてしまえば、二度と手のひらに戻る事はないというのに。

野分の澄んだ漆黒の瞳に俺の姿が映りこんでいる。
黒曜石みたいにきれいなその瞳が優しく細められて、そのままゆっくりと唇を重ねられた。

幼い姿に不釣り合いな、大人びたキス。
無理に奪う事はしないで、ゆっくりと絡められる舌に導かれるように更に口づけが深くなっていった。

こんな事になってしまってから、俺は野分からのベッドの誘いを断れなくなっていた。
以前の自分と比較すれば、こんな事は不自然なんじゃないかと解ってはいるものの、求められる度に毎回「これが野分との最後のセックスだったらどうしよう・・・。」と思うと、演技だとしても嫌だとは言えないでいる。
俺の様子が変だという事に野分は気づいてはいるけれど、そんな俺の変化を喜んでみせてくれていて。ほっとさせられる。野分は俺に甘えているって言ったけど、甘えているのはこちらも同じだ。

二人抱き合ったまま長い長いキスをして、どちらからともなくソファへと倒れ込んだ。
覆いかぶさる野分に優しく髪を鋤かれ、俺はそっと目を閉じる。随分慣れてきたとはいえ、やっぱり若すぎる野分への抵抗は正直消えない。目を閉じて記憶の中の野分を思いながら抱かれるそんな俺に気付きながら、目の前の野分はそれでもたまらなく優しかった。




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